告解

from takala

天命漏らし

という言葉をご存知であろうか。我々占師にとっての脅威である。

寿命は一般的に教えてはならず、占師によっては懐妊も教えない。身に生じる変化、病の発生についても教えない。賭事の助言はしない。試験の合否は教えない場合もある。

何故なら悪とされる事は呪いだからだ。依頼者は普通、「△△大不合格」と伝えればネガティブになる。努力が足りないだけだ。努力する機会を与えられているのだ。それを理解しない。不合格なら勉強しない、その様になる。

大病は不幸だろうか。当人の価値観によるが多くの人間は不幸と捉える。病により仁愛を知る事もある。だが「HIVポジティブ(エイズ感染者)です」と告げたらどうなる。大抵は絶望する。

天命漏らし=寿命の告知ではない。確実な事象の詳細を知らせると、占師は消滅する習わしなのだ。占師だけでなく依頼者もまた道連れとなる。

力有る占師は神隠しに遭う。輪々華は依頼者に対峙した際に禁忌を伝える事がある。だからこそ幾度も心身を取られる淵まで行っている。病なり事故なり説明のつかない出来事なり、枚挙に暇が無い。

それでも生きているのは何故か。彼女にとっては呼吸と同等なのだろうが、秘術であるからここには書かない。先程彼女のグリモワールに書かれていた。日記の様に気軽に。

彼女は告げるべき人を見極めている。その人間に覚悟があるか否か。弟子にしろ依頼者にしろ。

 

今宵のLive配信中は同室に居ます。冷や冷やしています。降神術等の大技は容易に見せるべきではありません。見せ物ではありません。昨夜も制止はしました。

更には無償。無償だからなのか彼女が余りに軽々しいのが最も宜しくないのだが、簡単な術だと思わないで頂きたい。

安易に彼女にあれをしてくれ、これを聞きたいと思う動機は理解しています。しかし現実に命を取られる術師も居るのだから目にしただけで、幸運だと考える様に。

ショーだと思われる事を最も懸念しています。