告解

from takala

小休止

 ここ一週間程は夜間に物思いに耽る事が多く、夢をよく見た。簡単に書いている様に見えるかも知れないが平常時には書けない事ばかりだ。輪華に文を書く事を勧められてからだが、占室ブログの頃から文が好む好まざるに関わらず湧水の如く出て来る時がある。読むを好んでも書く事は、輪華と違いさほど好きな訳ではない。

 HP記事を書き終えてから最も読者の要望として多かったのが、詳細がもっと知りたいという声だった。輪華の罹患した病(DID)については書きたくとも書けないのだ。性の情景についても彼女が顔を出して仕事をしている以上、余りにも箍が外れた描写は出来ない。地元の懇意な依頼者や遠方であっても対面した事のある依頼者、弟子や研究生で我々の顔を見知っていれば、如何に小説仕立てにしようと脳裏にシーンが浮かぶであろう。

 一度出版の話があった際に望まれたのが10代でのマイノリティな性行為や暴力性の部分、輪華の奇妙な精神とその状態の変化、原因である虐待の話、30代での不倫の部分だった。衝撃的な事を列記すれば売れるという風潮、スタイルを輪華は良しとしない。

 16からでは年月が経ち過ぎるが、36歳の詳細は纏まれば書きたく思う。一挙に事が動いた為か未だ整頓出来ていない。省みていない。

  朝目覚めて横に輪華が寝ている。彼女は妻である。毎朝その事実に軽く驚く。隣に彼女の居ない時間が長過ぎた。充から取り戻した。それが信じられない時がある。

 輪華が着替える、コップの水を飲む、それらの風景が信じられない時がある。一度ないしは二度彼女は死んだと思っている。16で消えた時に。心停止した36の時に。ベッドから降り只、室内を歩いているだけで驚く。霊に足が無い訳ではないのだが、輪華は足の無い霊の様なものなのだ。

 彼女に何か性的な行いをさせる度に、罪悪感が今でもある。病気だからではない。病気だからという理由も有るのだが。

 海外で日本人娼婦の購入は、国によるが児童買春と同様の感覚で為される。珍しい上に体躯が小作りな為、アブノーマルな錯覚に陥るものらしい。そうした面での罪悪感も有る。輪華の心身は子供のままである。10代の頃の魍魎の掴み難さとは異なるが、現在も彼女はアンバランスな精神構造であると思う。

 そしてまた、純正な存在を下等な情欲で穢すという罪悪。自分は輪華を対等とは見ていない。気紛れで地上に留まった精霊だと思っている。彼女は人の欲を持っていない。