告解

from takala

足枷

12月18日、18時になってようやく輪々華が食べ物を口にした。五分粥を膳の1/3程度。

佃煮少々。

入浴というよりは行水を手伝う。

少しでも壁にぶつかると痣になる。手首などまるで小枝だ。軽く握っていただけで点々と内出血する。

左腕は今後、ほぼ動かないだろうとの見解だ。リハビリによる。左手を使わず固定して編み物はしている。

殆どの時間を眠って過ごす。

緘黙が続く。肯定か否定かは首肯くか、首を振るだけだ。

{注;20日現在は多少口を開く様になった}

主治医より精神科への受診を、薦められる。自損行為があればそうなるだろう。只でさえ闘病の中で精神安定剤が補助的に、処方される。

輪々華は飲まない。昔この系統の薬を飲まされ、苦しんだ経緯があるからだ。

相変わらず殆ど話をしない。時折唇だけで笑う。それでも充分だと感じる。

責めて来る事は一切無い。代わりに自責の念が消えない様である。馬鹿馬鹿しい。輪々華のその念に対しても、馬鹿馬鹿しいと感じる。

彼女は手加減せずに追い詰めて行くと必ず、最後に助けを求めて来る。この加害者に助けを求める。

 

輪々華の姉に物件を押さえて貰う。“家族で”過ごせる様に。

「元義理の弟を自殺に追い込みやがって」と言われるが、「追い込まれる方が弱い」と答えておく。

輪々華が生きている内は元配偶者を手ずから世話してやるが、後は知った事ではない。娘が自立して以降は万一、娘の足枷にならぬ様に間接的に必要経費は出す。だがそれだけだ。