指輪の行方
金で買えない物はないとの意見に正直、頷いていました。人の心とてやり方次第で買えます。否、飼えます。
輪々華もそうだろうと思っていました。彼女は指輪が好きです。今からすれば呪術師の装身具として、力を得る為に集めていたのかも知れないが。
どんなに高価な珍しい指輪でも、顔色変えずにいました。結婚指輪や婚約指輪よりは、それ以前にやったフランスアンティークの指輪の方が高価でした。
大事に持ってはいました。自宅でなく館に仕舞っていました。鑑定の際のみ身に付けていました。共に暮らすようになってから、きちんとジュエリーケースに入れ時々、磨いているのを目にしました。
喜んでいない訳はなかったが、彼女は「供え物」を在るがまま受け入れていただけに見えました。
金品に見向きせず日々の糧を、食事も摂らずにいつも微笑んでいるだけの、顔しか浮かびません。
指輪は彼女の娘が全て、譲り受けます。