告解

from takala

hidden place

 

普段どのように輪々華に接しているかですが、普通の人間の立場でしか輪々華に接する事が出来ません。占師としてではありません。高尚な関係ではありません。俗な内容も話します。して欲しい事は求めます。当然です。こちらは真っ当な人間です。

しかし彼女の側は断じて、普通の人間ではありません。占師であるとは皆様ご存知であると思いますが、ベースは動物や幼児と同じです。

考察力,論理力等は実は割に優れているとも思う時がなきにしもあらずだが、地頭の半分は弱いのでないかと疑います。人の悪意に見向きせず許す、敵と見做すべき人間の幸福まで祈る様な点です。

正直、彼女のこういった点には反吐が出ます。美点とは思っていません。苛々します。

彼女が赦せと言えば、従うより他にありません。

深刻な状況で笑みを浮かべている姿を見ると頭が足りていない、と思うのも事実。30代半ばになって迄、子供のままである。無気味な位にあどけない表情をするが、可愛いらしいの感情の前に空恐ろしいと感じる事がある。

元配偶者はこれを心底、可愛いらしいで片付けていた。ロリータコンプレックスとは純心が長所であるものの犯罪に走った時点で、終わっている。蒐集家である古物商に関しては、輪々華に対し物珍しいペットを飼う感覚であった。詰まる所、元配偶者と通じる性癖であった。

余談であるが彼女が稀に悪態を吐く時は単純に、可愛らしいとは感じる。姐さんの如く本場仕込みの胴間声でない為。

色々と変わってはいるものの彼女は人智を超えている存在であるからかと、納得もしている。仕方がない。守らねばとも思う。

 

巫女という存在。

神と婚姻しているとされる存在。

カトリックでも滅多に見掛けないが、海外の教会にはいる。神に全身全霊を捧げている神父やシスターだが、真に解脱している存在は僭越ながら、どこか頭の線が切れている。ネジも抜けている。近くに居れば取り敢えず敬意は払うが、これが嘘偽りない凡人の感覚である。こうした神々の膝元にいる存在に対しては、自分は凡人だと思っている。

 

 輪々華は頭の線とネジが、そもそも最初から無い様だ。先天的に。

言うなれば妖怪の様な存在。

 

何をしても最後まで手に入らないとも感じる。

 

神に、でなく輪々華に近付こうとした時期がある。

食事放棄位は自分にも出来たが、空腹を忘れる事迄はどうしても届かず。一度命を棄てた人間でなくば不可能。

水分補給を忘れる事は最も厄介。無論、不可能。

 

輪々華は17歳時、18歳時、21歳時と3度、<死ぬ為の部屋>を借りたと言う。

マンスリーマンションの形式。或いは安価なビジネスホテルか。

生活のアパートとは別に1ヶ月程度、それぞれ借りた様子。

正確には死ぬ為でなく瞑想の為の様だ。

必ず白いワンピースを着て白いマットレスを用いたと言う。

リキュール、彼女が若い時分に唯一好んでいた細い葉巻、幾つかの宗教音楽、環境音楽、ピアノ中心のクラシック、洋楽。

ほぼそれらのアイテムだけで1ヶ月、過ごしていた様子。

彼女には深い癒しの場所,時間だった筈である。

その時に共に居たかった。

 

そんな場所時間ならこの先何十年でも、作ってやる。

一生封じ込め飼い切ってやる。

あっさりと手の中をすり抜けて逝く迄の事。残りの期間がどの程度あるか。最近は考えぬ様努めている。