告解

from takala

昔話第2章第2話

昔話は書き易いテーマであり、今後ザラザラと出す予定です。面倒なので昔話シリーズで一括りします。

 

当時、月々小遣い制でした。中学1年で2000円、学年が上がる毎に+1000円と家庭で決まっていました。

父親がボーナスを設定しておりテストの度に、1教科90点以上から1点毎に+100円としていました。99点で900円という按配。

つまり毎回500点満点、又は499点しか取った事がありませんのでテストの度5000円というのが通例でした。対象は5科のみ。

地方都市の市立中学の定期テストなど、教師の手抜きで内容が甘過ぎます。

 中学生として稼ぎ輪々華に買ってやりたい物があったのだが、大体の物はうちの両親が学用品,私服迄も輪々華の分を購入していました。

 

中学時は良かった、まだ従ってくれた。

必要な物、贈りたい物を買って渡せば受け取ってくれました。内心どう感じていたかは知りません。どうせ早く働いて自活せねば、との決意であろう。

知る限りは最も、共に食事していた時期です。部活帰りに学校近くのパン屋に寄り、公園で二人でアップルパイと甘ったるいカフェラテを飲んだ、冬の光景が強く思い出になっています。

食事と言っても鳥の餌程度しか、食べませんでした。彼女は何度も食べて良いか、本当に食べて大丈夫かと確認を取って来ました。

幼少期から物を食べると怒鳴られたらしく大声も、苦手としていました。大声には彼女は硬直します。現在もします。悪い時はそのまま過呼吸です。

自分の周りに怒鳴る人間がいないで育った事は大きいが、「多嘉良は絶対に怒鳴らないから好きだ」と言われているので今後もそうした威嚇の仕方、恫喝は他者にはしません。輪々華を虐待した様な頭の弱い人間のやる事です。

 

最近になって漸く食べて良いかと、確認しなくなりました。以前は娘にまで確認していました。娘は幼いながら「大丈夫だよ」と答える、痛々しい光景でした。

 

昔はたかだか中学生ですので意識していませんでしたが、自分が彼女の近親者の様な保護を、表層でしたかったのだと今は考えます。彼女の求めているのは父や兄が本来、彼女にしてやったであろう事でした。

輪々華の元配偶者はそれに一早く気付き、意識し接していました。時に大いに父の様な振舞いをしていた。その段階では負けていたかも知れない、何故なら自分は根底では父兄でなく恋人でいたかったからです。

現在も配偶者というよりは籍を入れた、恋人で在りたいと考える。理想像でしかないのも分かるが、理想を常に持っていれば近い状態を目指せる。

しかし現状、相変わらず兄の役目を求められています。

 

 

輪々華は決して異性を求めてはいませんでした。

それが証拠に、一緒に寝ていても猫がすり寄って来る様なものでした。思い起こせば動物の子が二匹で、寝ていた感覚。

今またその感覚に戻りましたが、一時期の男女間の様相は只、こちらの要望に応えさせていただけです。求めれば与えてくれたので無尽蔵だと思っていました。

 

さて輪々華は高校に上がって以降はバイトとはいえ働き出した為、自分の物を自分で賄いました。それ迄はこちらで面倒を見ていた訳で、可能ならずっと注意監督していられれば良かったとも思います。

当時は法規制が緩く15才の高校生を深夜まで働かせる、飲み会では店長率先して未成年に飲酒させる等、突っ込み所が多々あり如何に真面目な高校生である自分が気を揉んでいたか、ご理解頂けるでしょうか。

うちの両親に給与を差し出そうとする等、恩返しの積もりだったかも知れないが。何をおいても早く自活したかったのだろう。

 

優等生の彼氏としては輪々華に素行を口頭で注意喚起するしか方法がなく、彼女は常に口うるさいとうざったそうにしていました。今もですが。

自立の精神は見上げたものです。しかしながら現在なら強固に反対しました。働いて自活するには病弱過ぎる。そうでなくとも普通の10代20代女性が一人暮らしするのは、現代で大変な事である。社会が男女平等とは感じない。場合によっては30代40代でも過酷。

 

あの頃に大学進学せず高卒後、さっさと結婚しておけば話が早かったのだ。猫と子猫を養う程度は高卒でも可能だった。輪々華は給料の高低に全く感慨を持っていない。

それを懸命に伝えた所で「お父さんお母さん(うちの両親)に迷惑かけた」「多嘉良は大学に行かなきゃいけなかった」「あの事(虐待の詳細)知られたくなかった」と答える。

輪々華は視えた風景に絶対的に従わねばならないと、固定観念がある。定めなどは壊してなんぼである。