投資を始めた切っ掛け他
これも化け猫が起因しています。
20才時に再会した際どうやら資産家に飼われているらしいと思いましたので、大卒後の生涯給与を計算しました。この時点で就職先は考慮していました。
中の上の生活では戴けません。猫の棲み処に来ていた爺さんの車は、現在考えてみても良い値です。この世には万札で鼻をかむ人間がいます。喩えが悪いが要は本物の資産家がいるという意味です。
再会時、輪々華はネックレスをしていたが自分で買う筈がない。20才の女が自ら買える物ではない。風俗嬢でもなければ。
未だ1%疑っていますが「愛人じゃねえつってんだろこの××××××(自主規制)が」と姉versionで言われましたので、そろそろ信じてやるかと思います。最近注意していますが、極めて口の悪い猫です。声が妖精然としていなければ終わっています。
当時は彼女を、首輪を着けられた猫としか見ていません。
投資は独学です。経済学や金融に興味があったのではありません。寧ろ全くありません。
大学では学びましたが、自分の実力に照らし入り易い学部を選んだだけです。将来性の有無も考えています。適性と興味関心は別です。
元手は幼少期からの貯金です。親戚からのお年玉等です。特に欲しい物はなく育ちましたので、手付かずでした。
元手幾らで何年で幾らに増やしたかは、やらしいので言いません。就職と同時に地方都市で一般的な家を買える程度ではありましたが、この話を読んでくれぐれもハイリスクな真似をしない様に。
大学生を狙った投資詐欺も横行していますので。
相場が見えねば手を出してはなりません。
子供時代同様、欲しい物があったのではありません。
輪々華の値段が分かりませんので、仕事はせねばなるまいと予定通り就職しました。
地元に戻らねばならぬ為、入社時から力は入っていません。出身大学と成績でスタート位置が既に決められていました。
詳しくは書きませんが上に行くなら本社は離れない方が良い訳で、そうなると出世争いも他人事です。一概に本社に長く居るのが、良いコースというのでもありませんが。
気を遣うべき上司もいましたが、基本的に尊大のままで通しました。結果さえ出し続けていれば生意気と言われながらも、直属に据えたいと言う上司はいます。但し一度でもミスをしたら終わります。
次いでに、過去の栄光もあまり関係がありません。結果が出せねば恫喝は日常茶飯事です。周囲で、の意です。職種を間違えたかと思いました。感情のコントロールが出来ない人間を大勢見ました。
自分はその様に詰められた事は皆無。
した事もありません。輪々華の嫌う人種に成り下がりたくありません。
実家は両親共に健在でしたが、介護を理由に地方勤務を希望しました。この時に人事部からの誘いを蹴っています。人事にいれば安泰とも言われていましたが。馬鹿猫の顔が浮かび。
地方で数年間管理を経験し、海外赴任を目指す形でした。
蓋を開けてみれば地方に籍を置きながら、上司についてシンガポール,香港,台湾,イギリス,フランスに出張で訪れる形式でした。
地方都市での勤務は若い内から、起業家と話が出来る点が魅力と言えば魅力ではありました。
しかし日本は国として好みません。理由は色々とあります。
フランスは水が合い、最も赴任したい国でした。
行くなら輪々華を連れてと思っていました。
その間も張り付いてはいませんが、趣味程度に投資はしていました。利益は毎月、給与を上回ります。
しかし仕事はしたくてやっていました。人間関係は劣悪でしたが仕事自体は楽しめた点と、輪々華にやたらと褒められた事が理由です。
本社にいた頃は、おそらく士気を高めさせようとしていたのだろうが定期的に手紙をくれました。
そうでなくとも電話でもメールでも、ただ「お疲れ様」と言われれば嬉しいものです。
彼女の精神年齢は時に子供ですので、掛けてくる言葉は「難しいお仕事してて偉いね」「お仕事頑張ってね」程度ですが、苦味走ったじじい共の中で仕事していますと、文字通り一服の清涼剤です。
電話では、こちらの声の調子で「今日は疲れている」「喉が痛いの?」と見透かして来ました。良くない事が周りで起きていれば、何も伝えていないのに泣きました。最も驚いたのは、仲良くしていた同期が過労死したのを彼女が察知した時です。健康な奴が若くして死ぬ世界と言えます。金の為でなくプライドの為に働いて死んで行きますから、男というのは詰まらない存在です。
輪々華がこちらを気に掛けるのは、不安だからです。「多嘉良も死ぬかもしれない」と。
気に掛けさせる為、不安を煽る事もしました。
彼女からの電話は必ず最後に「体を大事に」「人を傷付けないように」と結ばれました。
たまに「会いたい」と言い、その際は「好き」とも言う。互いに特定の相手がいようが言う。それが本心なのか気遣っての言葉なのか。
そうして故郷に戻ってみれば25歳上の医者と不倫中。殺意が芽生えました。