告解

from takala

元配偶者と輪々華との経緯(3)

連日書き込んでいますので好評です。お読み下さりありがとうございます。

館ブログにも明記しましたが、館アドレスに感想メールをどっと頂いている状況です。輪々華宛が圧倒的に多く少しずつ読んではいる様ですが、どうぞ返信は期待されず。依頼メールには早めに対応しています。

 経緯(3)です。宜しくお付き合い願います。

 

 

『妊娠したよ』

との連絡は夜中の電話でした。いつも通りの静かな声でした。

彼女は元配偶者が寝入った後、時折電話して来ました。こちらからはしません。

事前にメールで“〇時に電話するけどいい?”と言われるか“◎日の夜に電話出来たらして”という感じでした。既婚オヤジと不倫している未婚女子の切なる気持ちが分かりました。

 

彼女は昔から神出鬼没ですが、どういう訳かこちらのスケジュールを把握している節がありました。

予め、いつその連絡があってもと覚悟はしていました。事務的におめでとうと伝え祝いの品の希望を尋ねました。

何とも言い表せぬ心境でしたが、まず無事に出産が出来るのかを先に心配しました。

子供については彼女の子であるのだから、他の男の子供でもあるにしても興味はありました。霊力を引き継ぐのかどうか、それから彼女に育てられるならば興味深い人間に成長するであろうと。

それはさて置き、通話終了後に気が抜けた様になりました。何故こうなったのか。

判断を誤ったのは2度です。

高1の時点で卒業後に結婚しようと言っておけば。或いは大学中退し迎えに行っていれば。

否、誤りは3度です。輪々華が元配偶者の件を『付き合ってはいないけど』と言って来た時、問答無用で復縁を迫れば良かったのであろう。

何故出来なかったかと言えば何も告げられず別れた形になっている事に対し、未だ消化不良であったからです。深層では怒りも憎しみもあり、あちらから復縁を持ち掛ける事が筋と考えていました。

彼女の妊娠期間は距離を置いていました。

妊娠中の姿は見たくありませんでした。

とは言えメールや電話はしていました。相変わらずDVとなる事柄は勃発していました。

私的には生き地獄でした。

入籍したと連絡があれば祝わねばならない。

出産したと聞けば行かねばならない。

但し出産後1ヶ月経ってから行きました。

丁度赤ん坊が体調を崩しており仕事中の元配偶者の代わりに母子を病院へ連れて行き、配偶者に間違われそのまま配偶者の振りをしました。

元配偶者は多忙な期間でした。輪々華はほぼ一人で産み、一人で育てていました。

彼女に頼れる親はなく元配偶者の実家は、親のない彼女を生育歴の劣悪だった彼女を、受け入れてはいませんでした。

ただ彼女の本当の父親の血統が名士であり、彼女の本当の祖母と元配偶者の祖母とが親しい友人同士であった為、結婚を許可されたという話です。

彼女の姉はといえば商売屋(食品会社)に嫁ぎ、やはり一人で何でもやっている状況。妹も当然一人でやれるだろうと思っていた様ですが、世の中には出来る人間とそうでない人間とがいます。

元配偶者の帰宅は2週に1度。出張というよりは単身赴任。輪々華は免許もなく運転が出来ない、赤ん坊を抱えて彼女自身も体調が思わしくないという事で、元配偶者がわざわざ外出を禁止しなくとも幽閉状態でした。

近所に小児科クリニックも総合病院もある、近所に元配偶者の実家もある、元配偶者は彼女が家にいながら必要な物は買える様にはしていましたが、新婚生活は静寂と孤独しかなかったのではないかと思います。

元配偶者は帰宅すれば出産後間もない彼女に、ノーマルではない性生活の強要をしていた様であるし多量に出血しては救急車を呼んだりと、いつも事後報告でしたがいずれ事件にでもなるのではないかと心配していました。予測が外れたのは、輪々華が全て耐え抜いていたからです。

 

元配偶者の代わりに面倒を見る事は、こちらのアイデンティティが崩れ去りそうなものでしたが、輪々華は会えば必ずすがり付く様な目であり甘えて来ました。

求められているのは異性としての何かでなく、兄の役割でしたが。

この期間は積極的に「配偶者の身代り」となり気を紛らわせました。又は彼女の幸福を陰ながら、願ってもみました。

詰まる所、ストーカーの女への仕打ちを自らも体感した訳です。因果応報と言えます。

 

自分の仕事は上下同僚関係なく蹴落としが苛烈を極めていたので、憂晴らしに隙のある人間は次々と潰して行きました。無能な人間が悪という世界です。

自分が要因でなくとも発狂する人間は、実際にいました。

自殺も目にしました。単純に鬱で辞めて行く奴は運が良い。命拾いしています。

誰か自分より有能な奴が、敵対してくれないだろうかと喧嘩を売る様な真似もしていました。どいつもこいつも無能で、全く歯応えがありません。人の動きを先読みしている訳ですから、当然と言えば当然です。

残念ながら有能な人間の存在とは稀であり、彼らは有能なだけに自分とは敵対せず、早い段階で同盟を結んで来ました。

熱心に仕事すればする程、気が狂います。真面目にやるのが馬鹿らしいと思っていました。

何事も冷めた方が上手く行くと悟りました。

輪々華に対しても一時、冷めた目で見た時期がありました。言ってしまえば幼児期思春期の虐待被害者、PTSD発症でDVの中でしか安心感を得られない気の毒な女。

昇進するに伴い、虚無感は深まって行きました。

楽しいと感じるのは輪々華と話している時のみでした。その時だけは孤独感もない。虚無の波が襲って来る事もない。

何故いつまでも昔の姿のままで笑い掛けてくるのか、何故一緒に居られないのか、何故こちらからは触れられないのか。

何故親友を選んだのか。結婚したのか。親友の子を身籠ったのか。自分のどこが親友より劣るのか。思考はこのループでした。

最も悪い時期は元配偶者を殺し子も天に楽に送り、何者にも追われぬ様に計らい輪々華を連れて海外へと思っていました。

子供についてはかわいいと思う以前に、人の子とバイアスが掛かっていました。輪々華に危害を加える元配偶者は憎く、強く怒りがあるので彼の目の前で、子供を殺してやろうかとも思っていました。その場合は輪々華には見せませんが。

輪々華に対しても100%の慕情でなく、昔に勝手に別れた点、元配偶者と結婚した点、子供を設けた点、しかし自分に頼って来る点、曖昧な態度を取り続ける点に対して、多大なる憎しみがありました。

想像でなく綿密に緻密に、計画を練り上げました。

 考えている間は精神安定が得られました。

子供が自分の子供とは露も、否、露ほどは想像しましたが自慰の様なものですので、現実味がありませんでした。輪々華が絡むと全くと言って良い位、何も視えません。

 

自殺を考えなかったのは、時々輪々華に会えるからです。会えば一時ですが、おかしな思考は消えました。

こちらの仕事は何も知らない筈ですが、『禿げたおっさんに近付くな(禿げたおっさんは複数いましたが)』とか『ネクタイがいつも青の人が、多嘉良に何かしようとしている。あと“逆粉飾”って何?そう思っているよ』等、たどたどしく教えてくれました。

それらヒントのみで判りましたので、危ない時は回避出来ました。別に輪々華がいなくとも火の粉は払えますが、彼女が助けをくれていると思えば心理的に余裕が出ました。

 

彼女の入籍後はこちらからは触れない様にしていましたが、あちらから触れて来ると一瞬、快く意識が揺らぐ程になっていました。

一緒に居る事が楽であり安らぎであり、こいつが妻で家にいたならどんなにか救われるだろうと。

『ふんしょくふんしょく、むずかしいー♪♪』等々歌っている場面を見ていますと

馬鹿だ馬鹿だと思いつつ、かわいらしいと思ってしまったりもしました。

自分の住んでいる世界、特に仕事での立ち位置を忘れさせてくれました。

如何に他人を巧く貶めるか陥れるかという、汚い世界にいました。そこで上に行くというのは、悪人になる事を指します。退職時に自分の上にいる人間、並んでいる人間に善人は一人もいませんでした。輪々華が居なければ、自分も彼らの中で疑問を抱く事は無かったでしょう。

 

出産後の輪々華が霊性を強めているのが分かり、人間離れして行くのを感じていました。この辺りから化け猫と思う様になりました。

出産により力を失う術者もいますが、彼女は力を増していました。しかし体を壊していました。

出産が引金だったのか判りませんが、元々疑いのあった癲癇やら先天性の心臓の障害やら、婦人科系の病気やら主にトラウマから来るのだろうが精神的な問題やら、ザラザラと出るわ出るわでこいつは死ぬのかと思いました。20才時に次いで2度目です。

癲癇は鑑定祈祷と連動しており、館で何度も倒れていました。痙攣を伴う場合、対応に慣れませんでした。検査入院は嫌がってせず、現在も倒れます。ぼおっとして体は起こしているが意識が無い場合もあります。昔からであったと記憶しています。

心臓に関しては弁膜の問題でとうとう運動がNGになり走る事も無理ですが、医師に禁じられずともその体力はもはや無いであろう。

 精神面が不安定なのは昔からとして、現在の病気は目の前で出血したのを見、もう死ぬのだと思いました。床が殺人現場の如く血だらけになる状況でした。

そんな事があろうと元配偶者の態度は変わらず。性暴力も依然として改まらず。

昨年5月に館であった事の激しい悔恨は、彼らを別れさせると決意した8月迄続きました。

輪々華の様子は達観したものであり、言われた事は『多嘉良は私が好きだから仕方ないね』でした。

事後の第一声は『シャワー』であって、淡々としたものでした。

その後に彼女の手首や腕が腫れ色が変わり、骨折していたと判りましたが

『治療代受け取るけど通院の付き添いはみー君がやるよ、変に思ってるよ館にいただけだもん今日は。多嘉良と一緒にいたからさ、邪推されるよ。邪はあったけど。二人きりは止めようね。ああなったら私には回避出来ないよ』という冷静な指示でした。

彼女はほんの時たまですが冷静です。謝罪を重ねましたが『いいよ。もう痛くない。この話はこれでお仕舞い』とされました。

この件で分かったのは、彼女が“好きなら何をしてもされても良い”と考えている事でした。

元配偶者は形はともかく輪々華を好いており、彼の愛情であるからと暴力を甘んじて受け取っているだけなのだと。

 

その最中に彼女が腕が痛い手が痛いと泣いていたのは聞こえましたが、こちらで感じた事は「悦んでいるな」でした。見分けがつきませんでした。見分けがつかなかったのは、この時だけです。もっとやった方が良いのか迷った位でした。

元配偶者に普段から分別があった訳がなく、輪々華から求められての暴力という形になっている様でした。現在も彼はそう思っています。

輪々華は『何かよく分かんないけど、そうなっちゃうんだよ』『相手がみー君とか多嘉良みたいな人だと』『多嘉良もそうなったでしょ?予知外れてないでしょ』と言っています。

彼女の姉が視て来た様に以前「殺すなよ」と言って来ましたが、姉の場合は霊力云々よりは人生経験による忠告なのであろう。