告解

from takala

愚痴2019/2/16

院内にてピアノを弾くも、輪華は息切れで唄えず。

一室で目の届く距離に彼女は居る。殆ど眠っており話が出来なくとも、手を伸ばせば触れられる。

一緒に居られる今この時も眠っている。起きて居る時に話しても触れ合っていても、何を想い何を感じているのかが分からない。

他の人間は聴こえる。どうでも良い人間なら聴こえる。最も知りたい輪華の真意だけが視えない。

 

充を彼女は想っている。寝言で呼ぶのは充の名前の時もある。

充は辛うじて仕事をし一人で暮らしてはいるものの、医者にかかっていない精神の病の患者と言える。過去の輪華の幻想と暮らし、幻覚幻聴の域に居る。それはそれで幸福なのだろう。

かつて彼は枝分れした輪華の全ての人格を愛すると言い切った。いささか夢見勝ちであるが、全て輪華だから愛すると。

差はこれだろうか。自分は輪華の他人格は他人としか捉えられなかった。特に男性人格。だからこそ冷静に接する事が出来た積もりだ。

充はどうだ。「全て愛し」て潰れたではないか。各人格への対処も誤った。輪華への対処も誤った。過ぎた見返りを求めた。そして彼女に逃げられた。

 

現在の輪華は言わせれば「高良しか愛さない」と口にするが、目の前に現れる善良な人間どころか善良でない人間すらも愛する。男女は関係ない様だ。男だろうが過剰に親密に接する。医療従事者に対してもそうだ。過剰接触は輪華がやらせている。

当人が重病人のくせに、咳をしている理学療法士を気遣う。普段患者を気遣って自身を気遣われない、異性と縁遠い男は勘違いもする。結果、度を越えた接触。付添い(俺様)の居ぬ間にである。

本日は愚痴である。愚痴が零せる。これはこれで幸福なのだろう。